Snow Love. ~大好きなキミへ~
何もできないままぼんやりとその光景を眺めていると、お母さんはゆっくり立ち上がり、2階へ向かって階段を上がり始める。
私も一歩一歩、お母さんの後ろを辿った。
───ガチャ。
お母さんは、2階にあるお父さんとお母さんふたりの寝室の扉を開けた。
お母さんの足が止まったのは、真っ白にコーティングされた化粧台の前。
そしてお母さんはあるものを手に取る。
………それは、まだ大学生くらいの時のお父さんとお母さんの写真で。
写真の中のふたりは少しぎこちなく肩を並べて、だけどどこか楽しそうにピースサインを向けていた。
『……っ』
私の目から涙がこぼれ落ちる。