Snow Love. ~大好きなキミへ~
幸せそうなふたりを見ていると、すごく胸が苦しくなってきて、目には涙が浮かんでくる。
思うことはただひとつ。
ここにもうひとり、お母さんがいればいいのに………。
そしたらみんな、もっと幸せになれるのにね。
「………お姉ちゃん?」
私の瞳から頬に向かって、ツゥーっと雫が伝うのが分かった。
「陽乃?どうしたんだ?」
心配そうなふたりの視線がやけに痛くて、“なんでもないよ”って誤魔化したくなる。
涙を拭って、いつものように笑えばいいんだ。
そしたらきっと、私たち3人の関係はなにも変わらないから。
………でも。
「お父さん……」
私はもう逃げない。
そう、決めたの。
お父さんは私のそばに歩み寄ると、優しく微笑んで、私の顔をのぞき込んだ。
「ん?どうした?」
「あの、ね……」
私はグッとてのひらを握りしめる。