Snow Love. ~大好きなキミへ~


……自分でも分かってるもん。


今、自分がどれだけ大人げないことを言ってるか。


でも、私の大好物であるケーキを目の前にして我慢できるわけない。


いつも“お姉ちゃんだから”って理由で、何でも梨乃が一番で。


私だってたまには、大きなケーキを選んで食べたいもん。


「ほら、今日はクリスマスだぞ?喧嘩なんかするなよ」

「だって……」


お父さんは困った顔をしながら、包丁で大きなケーキに切れ目を入れていく。


「はい、父さんのケーキもやるから」

「え……?」


差し出されたのは、ちょうど真ん中でふたつに別れたケーキ。


顔を上げると、優しく微笑みながら私たちを眺めているお父さんがいた。


「パパ……食べないの?今日はクリスマスなのに……」


梨乃が不安げにお父さんを見上げる。


「父さんはお前たちが幸せそうだったらそれでいい。ケーキなんて食べなくたって、ふたりが笑ってることが父さんにとっての最高のプレゼントなんだから」


お父さんはそう言って、もう一度目を細めて優しく微笑んだ。


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