Snow Love. ~大好きなキミへ~


ただ泣くことしかできない私を優しい言葉で救って、温かい温もりで包み込んでくれたよね。


“陽乃、過去から逃げんな”


そう言って私の背中を押してくれたこと。


本当に嬉しかったんだよ。


橋本くんは夕暮れの空から目を離し、一度だけ深く深呼吸をすると、私を見つめた。


私の視界には、オレンジ色の背景に彩られた彼の真剣な顔。


今まで私は橋本くんから3度目の告白を受けてきた。


そして……。


「陽乃」


そして今、私は橋本くんから4度目の告白を受けようとしている。


私たちふたりの間を、肌寒い風がツゥーっと通り抜けた。


「俺はやっぱり、陽乃が好き」


風に乗せられて私の心に届いた、彼からの告白。


「付き合ってください」


橋本くんはその言葉と同時に私に向かって頭を下げた。


キミはいつだって、まっすぐな瞳でまっすぐな気持ちで、私に愛を伝えてくれたよね。


自分の気持ちに嘘をつくことなく、ただ私だけを想ってくれていた。


……だから、私も言わなきゃいけないね。


自分の中の、嘘のない本当の気持ちを。


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