Snow Love. ~大好きなキミへ~
また、無数の涙が溢れた。
「もう……泣くなって。ほら、泣きやんで?」
「うぅ……っ、っく……っ」
「陽乃、ありがとう。こんなに泣くまで俺のこと考えてくれて。それだけで俺、めちゃくちゃ嬉しいよ」
「………っ、ん」
それからしばらく私は泣き続けて、ようやく泣きやめたのは辺りが暗くなり始めた頃。
「そろそろ帰ろうか?お前の家族も心配してるだろ」
「橋本くん……っ」
ベンチから立ち上がった橋本くんのブレザーの裾をとっさに掴み、私も一緒に立ち上がる。
でも、その瞬間。
「……っ、え……?」
私の頭が大きな腕で包まれて、顔には彼のブレザーのボタンが触れる。
「最後に……こうさせて」
私を抱きしめたまま、絞り出すようにそう言った橋本くんの声は、切なく震えていた。