Snow Love. ～大好きなキミへ～

「陽乃……」

「………うん」

「聖也って……」

「……ん」

「“聖也”って、呼んで……？」


涙の混じった掠れたその声に、私の胸がきゅっと苦しくなってまた泣きたくなる。


でもここで私が泣けば、きっと橋本くんを悲しませちゃうね。


そう思って、私は必死に込み上げてくる涙をこらえた。


「……聖也くん」

「……っ、く……」

「……聖也くん、今までありがとう」


本当に、心から感謝してるんだよ……。


密着していた体を離して片手で顔を覆った橋本くんは、私に向かって小さく手を振った。


その光景に、ひどく胸が締めつけられる。


だけど、もう歩き出さなくちゃ。


私がここにいたら、きっと橋本くんはいつまでも思うように泣けないだろうから。