Snow Love. ~大好きなキミへ~
俺の好きな人ー優妃sideー
久しぶりに呼んだ、陽乃の名前。
でもそんな俺に一切振り向くこともなく、背中を向けて走り出した陽乃。
友達も急いでその後を追うように走って行った。
遠ざかっていく小さな背中が、今の俺と陽乃の心の距離を表しているようで、ひどく胸が痛んだ。
……別に、聞くつもりはなかったんだ。
たまたま、本当にたまたま、百合とその教室の前を通りかかっただけ。
なのに……こんなことになるなんて。
俺はまた、きっと陽乃を傷つけた……。
今もまだ変わらず俺を想い続けてくれている陽乃を、また泣かせてしまったんだ。
優くんに触れたい、ずっと一緒にいたい。
さっき陽乃は、確かにそう言った。
俺の自惚れじゃなければ、陽乃は恥ずかしがり屋だからきっと顔は真っ赤に染まっていたんだろう。
気持ち悪いとか鬱陶しいとか、そんな気持ちは全くなくて、俺の心はドキドキと脈打っていた。