Snow Love. ~大好きなキミへ~
でも百合はその手からパッと顔を背けると、自分のブレザーで涙を拭う。
「それはもう、優ちゃんの役目じゃないよ……」
「あ……ごめん」
「あはっ、もう。そんな顔しないで。優ちゃんは本当に優しいんだから」
「……そんな、こと…」
「優ちゃん、ありがとね。今までずっと私のそばにいてくれて、支えてくれて。留学してる時も、ずっと待っててくれて。私、優ちゃんの彼女になれて本当によかった」
「……ん」
「優ちゃんと恋ができて、心からよかったって思えるよ」
俺の目の前でふわっと笑う百合は、もうあの頃の泣いてた百合じゃなくて。
とても、強い目をしていた。
「今までに優ちゃんがくれた愛はきっと、本物の愛情でしょ?だから私は、もう大丈夫。泣いたりなんかしない」
「……百合」
「優ちゃんと葉月、それから私。仲のいい幼なじみに、戻ろうよ。私、優ちゃんと葉月がいるだけで、何倍も強くなれるから」
百合はもう一度、目を細めてにこっと微笑んだ。
その百合の笑顔がとても優しさと強さに満ちあふれていて、俺の目からは、無数の雫が流れだす。
カッコ悪いって分かってるけど、この感情を止める術も知らなくて、俺は片手で顔を覆った。
「優ちゃん……」
だけど、俺の名前を呼ぶ声がして、指の隙間から百合を見ると、百合はふふっと笑ってから、俺に向かって言った。
───「ずっとずっと、大好きでした」