Snow Love. ~大好きなキミへ~


「あら………」


にこにこと楽しそうに笑みを浮かべている梨乃の隣で、おばぁちゃんは私を見て目を丸くした。


「日向子(ひなこ)にそっくりね……」


そして独り言のように、ポツリと呟いた。


「ねぇ、おばぁちゃん?“ひなこ”って誰?」


不思議そうに首を傾げる梨乃。


そんな梨乃の頭を優しく撫でながら、おばぁちゃんはきゅっと目尻を下げた。


「陽乃と梨乃の、お母さんの名前よ」

「ママ?ママの名前、”ひなこ“って言うの?」

「そうだよ。日向子」


おばぁちゃんは宝物を包みこむように、
お母さんの名前を呼んだ。


しわでいっぱいの、その表情は、我が子に対する愛しさで溢れている。


「へぇー!梨乃、知らなかった!じゃあ、ひなこママだね」


無邪気にはしゃぐ梨乃。


周りにいる誰もが、優しい雰囲気で梨乃を見守っていた。


でも……………


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