Snow Love. ~大好きなキミへ~


その時に、私の剥き出しの太ももとベンチがぴったりと触れる。


しっかりと冷えて氷のようになっていたベンチは、私の体をよけいに凍えさせた。


「ねぇママ、今日の夜ご飯、お魚?」

「ええ、そうよ。あみ、お魚好きでしょ?」

「やったー!うん!あみ、お魚大好き!」


私の目の前を通り過ぎる一組の親子。


幼稚園の年長くらいだろうか。


おそらく、5歳か6歳くらいの女の子が、
嬉しそうにお母さんを見上げて笑っている。


そして、その女の子を愛しそうに見下ろす”お母さん“。


触れると壊れてしまいそうなちっちゃな手は、優しくお母さんに握られていた。


「………っ」


あの10年前の残像が、また頭の中をかすかによぎった。


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