Snow Love. ~大好きなキミへ~
泣きそうな私に気付いたのか、先輩は一度目をつむってから、
「呼び捨てじゃなくてもいいから、先輩はやめてよ」
と、困ったように笑った。
また、私の胸がチクッと痛む。
本当に小さな小さな、鈍い痛み。
私は緊張に震える唇で、名前を呼んだ。
「……優くん…」
空から降っていた粉雪がいつの間にか地面を覆い、辺りは真っ白な銀世界に染まっていた。
そして……純白に染まった世界の中で、彼は真夏に咲くひまわりのような笑顔で笑ったんだ。
「やっと名前で呼んでくれた」
そう、嬉しそうに呟いて。
また、私の心臓がうるさく鳴りだす。
ねぇ、優くん。
そんなに嬉しそうに笑わないでよ。
私の心臓が、苦しいドキドキでいっぱいになっちゃうから。
名前を呼んだだけだよ?
たったそれだけなんだよ?
……どうしたらいいのか分からないの。
こんなドキドキ初めてだからね、どうすればこの気持ちがおさまるのか知らないんだ。