Snow Love. ~大好きなキミへ~
「陽乃」
「………ん?」
「ありがとう、名前呼んでくれて」
「…………ん」
胸の奥がキュンと疼いて、なんだかくすぐったい。
「優くん……」
今度は私が名前を呼ぶ。
「どうした?寒いか?」
「……違うの…」
“寂しいの”
その一言は……言えなかった。
優くんは大きな体を丸め、私の目線になって目をしっかりと合わせてくれた。
「あのね……」
気付けば敬語も直ってて、自然に話せている自分に自分自身が驚いた。
「私の過去……聞いてほしいの」
優くんは目を丸くして、ただ私を見つめている。
いきなりこんなこと言われても、迷惑だよね。
確かに、今日知りあったばかりの人に、
ずっと閉じ込めてきた自分の過去を話すということは、周りから見れば信じられないことかもしれない。
まだ光莉ちゃんや愛花ちゃんにだって、
打ち明けられていないのに。
「それは、俺が聞いてもいい話?」
「分かんない。この話を聞いちゃうと、
私のこと軽蔑しちゃうかもしれない。でも、優くんに聞いてほしいと思ったの」
本当だよ。
まだ出会って1時間もたってないはずなのに、私がおかしいのかな。