Snow Love. ~大好きなキミへ~


私はその瞬間が本当に大好きだったから、今日も早く抱きしめてほしかった。


褒めてほしかったの。


『………あ』


そろそろお母さんが玄関から出てくるかな、って思った頃。


庭のすぐ前にあった道路の真ん中に、少し小さめな小石を見つけた。


溶け始めた雪の中に、その小さな小石は埋もれている。


『あれで目、作れるかなぁ……』


私はその小石で雪だるまに目を作ってあげようと思って、一目散に道路へと駆けだす。


もう、周りなんて見えていなかった。


幼い私の目に映るのは、道路の真ん中にある小さな小石だけ。


私はそっと道路の真ん中へしゃがみこみ、小さな手を小石へと伸ばす。


両手で小石を救って、ふわりと笑った……
その時。


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