Snow Love. ~大好きなキミへ~
それからしばらくして…─。
「優くん……ありがとう」
「いや、俺がお前をほっとけなかっただけだから。俺、泣いてるやつを放置して通りすぎるほど酷いやつじゃねーし」
もう空は、太陽が姿を隠して、代わりに真っ赤な夕日が姿を現していた。
そろそろ帰らないと、お父さんたちに心配かけちゃう。
なにより今日はお母さんの命日。
家へ帰ってきちんと線香をあげなきゃならないし。
「じゃぁ、またね……」
これ以上、優くんをこの場に引き止めておくわけにもいかない。
私がバイバイを言わない限り、優くんからは動こうとしないと感じた私は、一歩優くんとは反対方向に踏みだした。
「陽乃!」
その時、優くんが私の名前を大きな声で叫んだ。