【完】君ノート
いつもと違う花瓶に、俺は眉をひそめた。
「すずらん…なくなってる」
そうポツリとつぶやくと、花音も俺と同じ視線の方を見た。
そしてノートに何かを書き始めた。
〔すずらんは春に芽吹くから、
今の季節は葉っぱだけなんだ〕
そっか。
夏だから、花はもうないし飾れないのか。
〔優くんは知ってる?すずらんの花言葉〕
楽しそうにノートで俺にそう聞いてきた花音。
「ごめん。俺、植物とか全然詳しくなくて、分かんねーや…」
頭をかきながら、そう言った。
すると花音はノートに書いて教えてくれたんだ。