【完】君ノート
Episode7*° 夏休み
【花音side】
夏休みが始まった。
まだ始まって間もないのに、もう優くんと話したいなって思ってる自分がいる。
そんな気持ちを紛らわすために、私は優くんからもらったノートを毎日のように眺めていた。
たくさんの言葉がつづられているこのノート。
その文字のひとつひとつが、私の想い。
私だけの言葉なんだ。
そう思うと嬉しかった。
このノートがあるだけで、なんだか優くんと話してるような気持ちになれる。
大きなお守りみたい。
私にとって大切なもの。
私はそんなノートをパタンッと閉じると、縁側から吹いてくる風を感じた。
その風は、優しく私の髪を揺らす。