【完】君ノート
──ガラッ。
教室のドアが開く音がした。
思わず顔をあげてしまう。
「木崎……?」
沢田くんが、そこにいた。
「えっ…?なんで、泣いてるの?」
あ…。
しまった……泣き顔、見られた。
「なんかあったの?」
真剣な表情で、私のもとまで歩みよってきた沢田くん。
だめ。
私みたいな奴が、クラスで人気者の沢田くんと話してて、誰かに誤解されちゃう。
私は急いで鞄を持って、机の上に置いてあったノートを持つと走り出した。
「ちょっ!!木崎っ!!待てよっ!!」
沢田くんの焦った声が、聞こえて、
沢田くんの手は、私の腕を掴んで逃がしてくれなかった。