【完】君ノート
「どうして喋らないの?」
そう聞くと、女の子の持っているすずらんが震え出した。
違う。
女の子が震えてるんだ…。
もしかして、聞いてはいけないことだった?
「………っ!!」
急に振り返ったかと思うと、近くに置いたあった鞄を手にし、
逃げるようにこの教室から出て行ってしまった女の子。
俺は呼び止めることもできずに、立ち尽くしてしまった。
教室にはグランドピアノだけがあって。
そんな中思ったんだ。
ピアノの音をキレイに奏でる君。
そんな君の声は、
きっと、もっとキレイなんだろうなって。