【完】君ノート
「俺、昨日部活で後輩に聞いたんだよ!1年で長い髪で可愛らしい女の子いない?って!」
涼太はバスケ部に所属している。
こんなんでも一応キャプテンで、仲間や後輩から慕われてるのを俺は知ってる。
そのくせ、よく課題を忘れて部活に行けないということが多い。
まぁ、それが涼太らしいけど。
「そしたら、なんか入学式のちょっと後の微妙なタイミングに転校してきた子がいたらしくて…。
その子がめっちゃ可愛いって騒がれてたらしいんだけど…」
涼太は少し言葉をにごしたけど、そのまま続けた。
「その子、声が出ないんだって」
その言葉で確信した。
きっとあの女の子だ。
そして、彼女は喋ることができないんだ。