【完】君ノート
「なにか…言ってた……?」
声が震える。
「花音ちゃんに、会いたいって……。
断ったけど、近々会いに来るかもしれない……」
嫌だ。
嫌だ。
怖い。
会いたくない……。
「い……や……」
精いっぱい、しぼりだした声だった。
「……花音ちゃんは、おばあちゃんの大切な孫で、娘だよ…。
花音ちゃんを守るって、奏(カナデ)が逝ってしまったとき、私は心に決めたから…」
奏っていうのは、私のお母さん。
おばあちゃんは震える私を、そっと抱きしめてくれた。