【完】君ノート
「そうそう!
花音のその笑顔は、俺を幸せにすんだから、ずっと笑ってろよ?」
そう言って優くんは、私に笑いかけてくれた。
「…………っ」
こんなにも優しい笑顔を、私は知らなかった。
「大丈夫。
怖くなったら、そのノート持ってて。
それがあれば、花音は笑ってられるから」
私は、このノートに……
優くんの言葉に……何度も助けられてきたね。
「優くん。私、もう逃げない。笑ってられるよう、強くなる。
お父さんと、会うね……」
そう言ってニコッと笑ってみると、
その拍子に涙がポロッと溢れてしまった。
でも、この涙は恐怖とかじゃない。
幸せな涙なの。
「うん。大丈夫。花音ならできる。
お前は強いから」
そう言われると、なんでもできちゃう気がするから不思議。
優くんの言葉は、魔法みたい。
「怖くなったら、また、手を繋いでくれる?」
「当たり前。
一緒に乗り越えるんだよ。俺と」
ひとりじゃない。
「うんっ」
だから私は、前を向いて進み始める。
君と手を繋いだら、
過去という辛い壁も、
乗り越えられるって思ったから。