【完】君ノート
Episode19*° 愛の音
…………。
あれから1ヶ月。
私は、お母さんのお墓の前にいた。
花束と、ノートを持って。
風に吹かれながら、あの人を待つ。
「……花音?」
誰かが私の名前を呼んだ。
だからゆっくりと振り返る。
そこにいたのは、誠実そうな男性。
昔とは違って、少し老けていた。
でも、なにか面影があった。
だから……
「お父さん……」
そう呼ぶことができた。