【完】君ノート
「久しぶりだな……。元気だったか?」
優しい声に、胸がキュッと痛む。
『お前なんか、いらない』
あのときの言葉が、恐怖に変わる。
大丈夫。
大丈夫。
〔花音、笑って〕
ノートに書いてある言葉。
優くんの言葉を、ギュッと握りしめた。
魔法の言葉。
笑っていれば、強くなれる。
「元気だったよ……」
優くんの言葉が、ここにあるから……。
お父さんに笑って答えれた。
「そうか……。それは、良かった」
少しだけ沈黙が流れる。
お父さんと会うのはいつぶりだろう?
10年…くらいかな?