【完】君ノート




「お父さんは、私に話があるの?」




「話というか、伝えたいことがあるというか……」



「……?」




「あの頃、花音がまだ幼い頃に、ひどいことしてごめんな。
でも、あれが家族を守る…唯一の方法だった」



「お父さん……?」



お父さんは、うつむきながら、話を続けた。




「お父さんな……。
あの頃、仕事がうまくいってなくて…。

お前たちに当たってしまってばかりだった。

とうとう借金までしてしまってな…。
もう、お前たちに合わす顔がないと思った。

幸せにできないのなら、離れてしまおうと思って……離婚することを決めた」





「…………えっ?」




初めて知った事実。



借金のこと。

お母さんと離婚した理由。





「それでも花音は、必死に俺を止めてくれたな?
離婚してほしくないと。

……『お前なんかいらない』
そんなのは嘘だ…。
俺のたった1人の大切な娘だよ。

でも…こうでも言わないと、花音は俺から離れなかった」



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