【完】君ノート
「そして、私の隣には……ずっと優くんがいるの」
そして花音は、
俺が描いた女の子の横に、男の子を描いて行く。
「これが、優くん」
「へぇ。かわいい優くんだな」
にっこり微笑んでる俺が、そこにいた。
本当に本当に、幸せそうだった。
「花音、シャーペン貸して」
「まだ描くの?……はい」
俺は花音からシャーペンを受け取ると、また夢を描く。
「これが、2人の家な?2階建て」
「うん」
「んで、花音は花が好きだから、庭には花畑を育てよう」
俺はチューリップやら、すずらんやら。いっぱい花を描いた。
「あはは……。優くん、これがチューリップ?」
「えっ?チューリップに見えない?」
「見えない」
ちょっとバランスが崩れて、チューリップとは思えない絵に、花音が笑っていた。