【完】君ノート
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────………。
あれから、数年の時が過ぎた。
俺たちは、大人になった。
「懐かしいなぁ……。
あったな、そんな頃も」
久々に俺は、涼太と会って話をしていた。
「……高校の頃、一生懸命だったな。俺」
「本当……。
優はいつも、花音ちゃんにばっか全力だった」
目を閉じると思い出せる。
いつでも君は、俺の心の中にいた。
今でも君の声は、俺に届く。
────……『優くん!』
俺は鞄の中にある、1冊のノートを取り出した。
時間が経ったせいで、
色あせてしまったノート。
時の流れが、彼女の記憶も消してしまわないか……不安になる。
彼女は確かに言った。
心の中に、ずっと残る。…………と。
俺は一度だって、忘れたことはなかったよ。