【完】君ノート
…………花音と別れた日から、
俺は一度も花音と会っていないし、話してもない。
俺の連絡先は、このノートに書いてあるから、
花音から連絡してくることもなかった。
でも、
たとえこのノートを、花音が持っていたとしても……
きっと彼女は、俺とは会わなかっただろう。
……なんとなく、そんな気がする。
そして、俺はその子がいる待ち合わせの公園まで向かった。
小さな町は、春の訪れを感じる。
ラベンダーに、菜の花。
いろんな花が咲いていて、豊かな町だと思った。
……その中に、すずらんも揺れていた。
手に持っていたノートを開く。
未来予想図のページは、破れてしまっているけれど。
ちゃんとここに、はさんである。
これも俺たちの、大切な思い出だから。