【完】君ノート
───────────。
───ガラッ。
古びたドアの開く音。
「あっ!!花音、もう来てたんだ!」
あれから優くんは、毎日私のピアノを聴きにこの教室にやってくる。
もらったノートを開いて、シャーペンを取り出した。
このノートは今では私にとって、なくてはならないもの。
そんなノートを優くんに見せる。
〔優くんが、毎日来てくれるから〕
すると、優くんは照れくさそうに頭を掻きながら笑った。
「ピアノ、聴かせて?」
そんな言葉に、私はコクッと頷いた。
そしてピアノを奏で始める。