【完】君ノート




私、おばあちゃんにピアノ教えてもらって良かったって。



おばあちゃんの教えてくれたピアノのおかげで、素敵な人に会えたんだよって。




まだ伝えることができないから、声が戻るまで、待っててね?




だから今は、おばあちゃんの質問には笑って頷いた。



私、学校が楽しいよ。







「そうかい。良かった…。おばあちゃんも嬉しいよ。
これ、持ってお行き」



私の笑顔に、嬉しそうな顔をするおばあちゃん。


そして私になにかを渡してきた。




手の中には、すずらん。




「日向に当ててやると、グングン育って、立派に咲いてたよ。花音ちゃんが愛情そそいで育てたすずらん。
前持って行ったすずらんは枯れてないかい?
それを飾るといいよ」



私はもらったすずらんを見て、コクッと頷いた。


この前のすずらんは、花瓶で少ししおれてきちゃったんだ。



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