【完】君ノート



───優くん。



そう呼べたら。

私の声で呼べたら。




きっとあなたは振り向くのに。





私は見つめることしかできなかった。





でも、呼び止める方法はある。



肩をたたいて、振り向かせて…このすずらんを見せたい。



だから私は優くんに追いつこうと、少し早歩きした。




すると誰かが私の横を通り過ぎる。





「優っ!」




その人は、簡単に優くんの横に行ってしまった。





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