【完】君ノート
「あっ。涼太じゃん。おはよ」
「おう!昨日のあれ見たかー!?」
…なんとなく、優くんを遠くに感じてしまった。
優くんは、すごく優しいもん。
素敵な友達がいっぱいいて当たり前だよ。
今だってあんな風に楽しそうに話してて…
あの無邪気な笑顔を見ると、私まで嬉しくなる。
でも、ちょっと寂しい。
知ってるよ。
優くんは私がいなくても、他の人が周りにいることくらい。
ただ…
私が先に優くんの名前を呼べたらって、思ってしまっただけ。
声の出ない自分が悔しくて、手の中のすずらんをギュッと握ってしまった。