助手席にピアス
だったら両耳はもちろん、おへそにだって喜んでピアスを開ける。でも、予想外に笑う美菜ちゃんを目にしたら、幼稚な考えだったと気づいた。
「そんなに笑わないでよ」
「ごめん、ごめん。そうだね。雛子のそのかわいらしいショートボブスタイルにならピアスも似合うかもね」
美菜ちゃんはテーブルの向かいの席から手を伸ばすと、私の頭を撫で撫でしながら慰めてくれた。
お姉ちゃんのように頼れる美菜ちゃんには、付き合って三年目の彼氏がいる。
「美菜ちゃんは、彼と結婚したくないの?」
「私? 私は三十歳までに結婚できればいいかな……。まだまだ遊びたいし」
肩にかかった綺麗な巻き髪を、ふわりと片手で後ろになびかせる美菜ちゃんの仕草は色気抜群。でも性格は、竹を割ったようにサバサバしている。
美菜ちゃんのように、結婚はまだ先というのが今どきの一般女子の意見だと思う。
でもね、私はふんわりとした純白のドレスを身に纏い、ハワイの青い海と空が眩しいチャペルで結婚式を挙げたいの。
こんなことを夢見る私は、やっぱり子供っぽいのかな……。
そう思いながら、まだ半分残っているカルボナーラを急いで口に運んだ。