助手席にピアス
Sweet*13
年末年始
忙しく過ぎたクリスマスの三連休を終えた私は、年末の業務に追われつつも、ランチで美菜ちゃんとガールズトークで盛り上がることを忘れない。
「雛子。はい、お土産」
「美菜ちゃん、ありがとう! それでホワイトクリスマスはどうだった?」
恋人と過ごすクリスマスに憧れている私は、瞳を輝かせながら美菜ちゃんに聞く。
「うん。ナイターゲレンデで滑っていたら、星がすごく綺麗に見えてね。もう感動的だったよぉ」
「わぁ! いいなぁ」
「私のことより雛子はどうだったの? クリスマスのお手伝いは大変だった?」
本日のオススメは、サーモンのクリームパスタ。パスタに絡み合ったホワイトクリームが、冷えた身体を温めてくれる。けれど、私が頬を赤く染めたのはパスタのせいだけはない。
「美菜ちゃん。実は私、桜田さんと付き合うことになったの」
「えっ? 桜田さんと付き合う?」
美菜ちゃんはフォークに巻きつけていたパスタを、お皿の上にドボンと落とす。
「うん。色々とあって……」
「雛子! その色々を全部私に教えなさい!」
美菜ちゃんが驚くのは、あたり前だと思った。だから私は、クリスマスイヴに琥太郎がガトー・桜を訪れたことも、その琥太郎に置き去りにされたことも。
そして、そのことを寂しく感じた私が桜田さんに助けを求め、甘えたことを、美菜ちゃんにすべてを包み隠さず打ち明けた。