助手席にピアス
頬をほんのりと赤く染めて、朔ちゃんと夢中でウエディングケーキのデザイン画を覗き込んでいる莉緒さんから漂うのは、花嫁オーラ。結婚を二カ月後に控えている莉緒さんは、スポットライトを浴びているように光り輝いて、とても綺麗だ。
お似合いのふたりの姿を羨ましく見つめていると、莉緒さんが瞳を輝かせながらデザイン画から顔を上げた。
「真澄さん。雛子ちゃん。このケーキがいいわ」
莉緒さんと朔ちゃんが選んだのは、ハート型のウエディングケーキ。
もちろん、ケーキの上には真っ赤な苺とラスベリーと紫のブルーベリーがふんだんに盛りつけられている。
まさに仲睦まじいふたりにピッタリなケーキだよね。
そう思った私は、ひとり興奮してしまった。
「私、朔ちゃんと莉緒さんの期待に応えられるように頑張るから!」
「ああ、楽しみにしているよ。それからこれ。雛子ちゃんには挙式から参列してもらえるとうれしいな」
朔ちゃんが私に差し出してくれたのは、上品な淡いブルーの招待状。
「うわぁ、ありがとう!」
披露宴だけでなく、チャペルの挙式から招待された私の気分はまさに絶好調。でも……。
「それから真澄にも。はい」
「いや。俺は二次会会場にケーキの運搬をしなければならないから、悪いが披露宴には出席できない」