助手席にピアス

頬をほんのりと赤く染めて、朔ちゃんと夢中でウエディングケーキのデザイン画を覗き込んでいる莉緒さんから漂うのは、花嫁オーラ。結婚を二カ月後に控えている莉緒さんは、スポットライトを浴びているように光り輝いて、とても綺麗だ。

お似合いのふたりの姿を羨ましく見つめていると、莉緒さんが瞳を輝かせながらデザイン画から顔を上げた。

「真澄さん。雛子ちゃん。このケーキがいいわ」

莉緒さんと朔ちゃんが選んだのは、ハート型のウエディングケーキ。

もちろん、ケーキの上には真っ赤な苺とラスベリーと紫のブルーベリーがふんだんに盛りつけられている。

まさに仲睦まじいふたりにピッタリなケーキだよね。

そう思った私は、ひとり興奮してしまった。

「私、朔ちゃんと莉緒さんの期待に応えられるように頑張るから!」

「ああ、楽しみにしているよ。それからこれ。雛子ちゃんには挙式から参列してもらえるとうれしいな」

朔ちゃんが私に差し出してくれたのは、上品な淡いブルーの招待状。

「うわぁ、ありがとう!」

披露宴だけでなく、チャペルの挙式から招待された私の気分はまさに絶好調。でも……。

「それから真澄にも。はい」

「いや。俺は二次会会場にケーキの運搬をしなければならないから、悪いが披露宴には出席できない」

< 153 / 249 >

この作品をシェア

pagetop