助手席にピアス
「ふぅん、そうか。なら僕が真澄に話をつけておくからさ。雛子ちゃん、今度の土曜日、僕とデートしてくれないかな?」
まさに今日、桜田さんと初デートを済ませたばかりなのに、また朔ちゃんからデートに誘われた私って、もしかしたらモテ期到来?
一瞬のうちに、頭の中が花畑になる。
でも朔ちゃんには莉緒さんという、素敵な婚約者がいることを忘れたわけじゃない。
「いいけど……莉緒さんも一緒でしょ? 私、お邪魔じゃない?」
「莉緒は一緒じゃないよ。僕と雛子ちゃんとふたりだけのデート。嫌かな?」
朔ちゃんとふたりきりのデート!?
答えはもちろん、決まっている。
「い、嫌じゃない!」
「だったら決まりだ。そうだな。お昼の十二時に雛子ちゃんの家まで車で迎えに行くよ。いいね?」
「う、うん!」
あっという間にデートをすることになったのも驚いたけれど、私が一番驚いているのは、朔ちゃんとふたりだけでデートをするということ。
これって、もしかして結婚前の浮気? まさか、朔ちゃんに限ってそんなこと、あるはずないでよね?
通話を切るとベッドの上に転がり、朔ちゃんとのデートのことアレコレと考えるのだった。