助手席にピアス
Sweet*17
決断
朔ちゃんと有意義なデートを終えた私は、家に帰ると速攻でスマートフォンを握りしめた。
コールした相手は……。
「もしもし、お母さん?」
「あら雛子、どうしたの?」
母親の声の背後から、おじいちゃんの笑い声が聞こえてきた。きっとリビングのこたつに入って、テレビを見ているんだろう。
「あのね、ちょっと話したいことがあるの。来週の土日にそっちに帰ってもいい?」
「もちろんよ。お父さんもおじいちゃんも雛子に会えるのを楽しみにしているんだから。それで話って電話じゃできないこと?」
遠くにいても、いつも私を心配してくれている母親の言葉に胸が熱くなる。でも、このことはお父さんやおじいちゃんにも自分の口から伝えたい。
「できれば、みんなの前で話したいんだけど」
「わかったわ。悪い話じゃないのよね?」
「うん、多分」
私の返事を聞いた母親は、フッと小さく笑った。
「なにそれ? まあ、雛子が元気ならそれでいいけど。じゃあ、来週待っているから。気をつけて帰ってきなさいね」
「うん。じゃあね」
通話を切ると、これからしなければならないことをアレコレ考えた。
両親とおじいちゃんは私のこの決断を、どう受け止めるだろう……。
胸の隅に芽生えた不安を振り払うように鼻歌を歌うと、バスルームに向かった。