助手席にピアス
Sweet*18
結婚式
いつものようにイタリアンレストラン・ボーノで美菜ちゃんとパスタランチ中。……ではなく。
今日は珍しく、仕事終わりにお洒落なダイニングバーでカクテル片手に食事中。
「雛子~、寂しいよぉ~」
「もう、美菜ちゃんったら飲みすぎだよ」
さっきから『寂しい』を連呼する美菜ちゃんに、困惑する。
「だってぇ、雛子が私に相談もなしに、そんな重要なことを勝手に決めちゃうんだもん」
「美菜ちゃん、ごめんね」
どうして、このような流れになったのかと言うと……。
私が三月いっぱいでハニーフーズを辞めることを上司に報告したから。
「雛子! きちんと説明してよね!」と鼻息を荒げる美菜ちゃんにダイニングバーに強制的に連れて行かれた私は、自分が自分らしく幸せに生きていくために、もう一度スイーツに関わる仕事に就きたいと思ったことを打ち明けた。
美菜ちゃんは初めのうちは、私の決断を喜んでいてくれた。でもカクテルをお代わりするたびに、愚痴が増えていき、とうとう「寂しいよぉ~」を連発し出した、というわけ。
「美菜ちゃん、私も寂しいよ。だから今度、彼氏と一緒に地元に遊びに来てね。そうしたら琥太郎を紹介するから。ね?」