My sweet lover
15分ほどして、社長が社長室から出て来た。
「待たせたな。帰ろうか」
「はい」
私は厨房の電気を消すと、社長が待つ従業員出入り口へと向かった。
社長が従業員出入口に鍵をかけて、傘を広げる。
なかなか歩き出さない社長。
どうしたんだろうと社長を見上げると。
「何やってんだ?入れよ。濡れるぞ」
「あ、あぁ、はい」
そういうことか。
全然ピンと来ていなかった。
なんだかドキドキしながら、私は社長がさしている傘の中に入った。
ピッと車の施錠が解かれると、社長は助手席のドアを開けて、傘で雨から守ってくれる。
おずおずと助手席に乗り込むと、社長はドアを閉め、外から運転席へと回り、車に乗り込んで来た。
エンジンがかかり、ワイパーが動かされる。
「すげぇな。大降りだ」
社長はそう言うと、車を発進させた。
車が走るシャーッという音と、ワイパーが動く音だけが聞こえる車内。
社長は特に何も話さない。
この静かな空間に、私はなぜだかドキドキしていた。
「なぁ、お前さ」
突然、社長が前を向いたまま声を発した。
「な…んでしょう?」
戸惑いつつ社長に目を向けると、対向車のライトに照らされる横顔があまりに綺麗で、つい目を奪われてしまった。
「もっと人に頼ってもいいんだぞ」
「え…?」
それって、どういう意味…?
「何でも自分一人でやろうとするな。
お前が少々頼ったくらい、誰も迷惑だなんて思わないから」
「社長…」
「雨の日は俺がちゃんと連れて帰ってやるから。これからは、絶対ひとりで帰ろうとするな。わかったか?」
どうして社長は、時々こんな事を言うんだろう。
なんだか涙が滲んでくる。
私はそれを悟られないように、はいと静かに返事をした。
「待たせたな。帰ろうか」
「はい」
私は厨房の電気を消すと、社長が待つ従業員出入り口へと向かった。
社長が従業員出入口に鍵をかけて、傘を広げる。
なかなか歩き出さない社長。
どうしたんだろうと社長を見上げると。
「何やってんだ?入れよ。濡れるぞ」
「あ、あぁ、はい」
そういうことか。
全然ピンと来ていなかった。
なんだかドキドキしながら、私は社長がさしている傘の中に入った。
ピッと車の施錠が解かれると、社長は助手席のドアを開けて、傘で雨から守ってくれる。
おずおずと助手席に乗り込むと、社長はドアを閉め、外から運転席へと回り、車に乗り込んで来た。
エンジンがかかり、ワイパーが動かされる。
「すげぇな。大降りだ」
社長はそう言うと、車を発進させた。
車が走るシャーッという音と、ワイパーが動く音だけが聞こえる車内。
社長は特に何も話さない。
この静かな空間に、私はなぜだかドキドキしていた。
「なぁ、お前さ」
突然、社長が前を向いたまま声を発した。
「な…んでしょう?」
戸惑いつつ社長に目を向けると、対向車のライトに照らされる横顔があまりに綺麗で、つい目を奪われてしまった。
「もっと人に頼ってもいいんだぞ」
「え…?」
それって、どういう意味…?
「何でも自分一人でやろうとするな。
お前が少々頼ったくらい、誰も迷惑だなんて思わないから」
「社長…」
「雨の日は俺がちゃんと連れて帰ってやるから。これからは、絶対ひとりで帰ろうとするな。わかったか?」
どうして社長は、時々こんな事を言うんだろう。
なんだか涙が滲んでくる。
私はそれを悟られないように、はいと静かに返事をした。