My sweet lover
Lezioni11-ひとつの恋が終わる時
それからの数日、私は社長と会うのが気まずくて仕方がなかった。


だから、家では絶対に会わないように、細心の注意を払った。


職場で見かけてもドキドキしてしまうけど、お店での社長は普段通りの社長なので、仕事には特に支障がなかった。


そんなことが続いたある日の事。


休憩時間に外出してお店に戻ると、社長室のブラインドが下りていた。


あれ…?社長いないのかな?


そんな事を思いながら厨房に向かうと、何やらスタッフ達がのんびり座ってお茶をしている姿が目に入った。


「ど、どうしたんですか?
なんか皆さん、やけにくつろいでますね」


あまりにみんながリラックスしているので、思わず声をかけた。


「水沢ー、聞いてよ。ついさっき社長が早退したのよ」


ホールの先輩の谷口さんが嬉しそうに笑う。


「えぇっ?どうしてですか?」


どうしたんだろう社長。


気分でも悪いのかな…?


「なんか用事があるんですって。
こんなことってめずらしいでしょう?
社長がいると、みんなピリピリしちゃうからねー。
たまにはのんびりもいいかなって話してたの」


もうすぐディナータイムなのに、こんなダラダラしてて大丈夫なのかな?


早退か…。


社長が出張以外でお店にいないなんて、本当に珍しい。


会えなくてホッとするような、しないような…。


なんだか私は複雑な気分だった。

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