My sweet lover
コンコンと車の窓ガラスを叩く音がする。


ボタンを押して、窓を開ける。


「ごめんね、夏樹君。待った?」


グレーのスーツを着たありさが、ちょこんと顔を出す。


「さっき来たところだ。乗って」


俺がそう言うと、ありさが車に乗り込んで来た。


車内が一気にフローラルな香りに包まれる。


俺はとりあえず、車をこの場所から出すことにした。


「ありさ、最近仕事はどう?」


「うん。この時期はわりと落ち着いてる。
年末になるにつれて、多分忙しくなると思うけど」


ありさは外資系の企業で仕事をしている。


ありさは英語が得意で、それを生かす仕事がしたいと今の職場に就職した。


「ねぇ、話って何かな?」


「んー、ちょっと待って。ちょっと落ち着ける場所に車停めるから」


俺は少し車を走らせて、海の方へと向かった。


日が傾きかけて、俺とありさの顔にオレンジ色の光が照らされる。


俺は青とオレンジのコントラストが綺麗な空を眺めながら、ゆっくりと呼吸を整えていた。


港に着き、車を停車させる。


目の前には海。


なんだかいかにも告白する気満々な気がして、少し恥ずかしい。


俺はゆっくり息を吸って、静かに吐いた。


「ありさ」


「ん?」


「こんなこと急に言われたらビックリすると思うけど、でも言いたいから言わせてくれ」


俺の言葉に、ありさがきょとんとしている。





「俺な。





ずっと、ありさが好きだった」

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