My sweet lover
ガクンと力が抜けてしまう。


なんだよ…。


それなら早く告白すれば良かった。


バカだ、俺。


勇気がなかったばっかりに。


あぁ、俺ってアホ過ぎる……。


「なぁ、ありさ。
お前朝日とのこと、どうするつもりなんだ?」


俺がそう言うと、ありさの顔が曇ってしまった。


「実は今ね、ロス支社で働かないかって上から言われてるの」


「えぇっ?ロ、ロス?」


「行ってみたい気持ちもあるの。
だけど、朝日君と離れるのもイヤだし、ずっと迷ってる…」


ありさが海外勤務…?


そんな…。


「行ったらいつ戻れるんだ?」


「最低でも3年、かな?」


さ、3年も…?


「朝日には話したのか?」


俺の問いに、ありさが首を横に振る。


「私ね、最後の賭けに出ようと思ってる…」


「賭け…?」


賭けって何だ?


「もし朝日君が引き止めてくれるなら、ロスには行かない。

でも引き止めてくれないなら…」


ありさがふぅと息を吐く。


「私、ロス支社へ行くわ」


「ありさ…」


ありさの目に涙が滲んでいる。


抱きしめてやりたい気持ちをぐっとこらえつつ、俺は最後の勇気をふり絞った。


「なぁ…。朝日と別れて俺と付き合う気はないか?」


「え…?」


ありさが動揺しているのが、手に取るようにわかる。


「そういう選択肢は、ないか…?」


ありさが目を海の方に向ける。


何かを考えているようだ。

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