My sweet lover
「お、お祝いって事は、もしかして告白が成功したんですか?」


ありささん、OKしたのだろうか?


「ううん、あっさり振られた」


「ふ、振られた?

それなのにお祝いなんですか?」


私が問いかけると、社長はうんとうなずいた。


「なんか今、すごくスッキリしてるんだ。

ホントに嘘みたいに心が晴れ渡ってて。

言って良かったよ。

お前のお陰だ。

お前が背中を押してくれたから、勇気が出たんだ」


「社長…」


「でも一番大きかったのはさ、ありさと母親が似てるってことだ。

今日ありさに会ってみて、あらためてそう思った。

俺は母親の幻想を追いかけてたんだなって…。

気づかせてくれてありがとう。

それがわかったから、もうアイツに未練はないよ」


社長、本当にスッキリとした顔をしている。


こんな社長は初めて見たかも。


「まぁ、食ってくれよ。明日は休みだし、ゆっくり飲もう」


「…はい」


社長が用意してくれた料理はどれも美味しくて。


さすが飲食店の社長。


目利きがいいなと感心してしまった。


「なぁ、水沢」


「はい?」


社長は酔いが回っているのか、頬が少し赤い。


「この前、ごめんな」


「え…?」


「雷の日。変な事言って……」


あ、あのことだ…。


キスのことだよね?


「どうしてあんなこと言ったんだろうって、お前が部屋を出た後にすごく後悔したんだ。

驚かせてすまなかった」


そう言って社長は、目を伏せた。
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