My sweet lover
「気にしないでください。

こんな私でもベッドに一緒にいたら、そんな気になるんじゃないんですかね?

生理現象ですよ、きっと」


私は社長を気遣って、淡々と話した。


「生理現象って…。

いかにも保健体育の先生って感じの言い方だな…」


社長の言葉に、つい苦笑いをしてしまう。


だって、そう思うんだもの。


しょうがないじゃないか。


「誰が相手でも、そうなるわけじゃない…」


「え…?」


社長がそう言ってサラサラの前髪をかき上げる。


その仕草に、トクンと胸が高鳴った。


「あの時は、本気でそうしたいと思ったんだ。冗談でも何でもなく…」


まただ…。


社長は私をドキドキさせる。


こういうのやめて欲しいのに……。


「お前さ、“こんな私”とか言うなよ。

最近気づいたんだけど、お前の事エロい目で見てる客が結構いるぞ」


「は?」


「は?じゃねぇよ。ホントだって。

俺は確かに見たんだ」


そんなの信じられないし、有り得ないと思う。


私が男の人にそんな目で見られるなんて。


「私、ずっと男に生まれたらよかったのにって思ってたんです。

見た目や運動神経もそうなんですけど、私よく人から頼られるんです。

そういうのもあって…。

だから、どうして女の子に生まれちゃったんだろうって、悲しく思ってました」


女の子に生まれて来た意味なんて、私にあるのかな…。

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