My sweet lover
どれくらい泣いたのだろう。


随分泣いたと思うのに、社長はずっと私の頭を撫でてくれていた。


社長の腕の中は、なんだかとっても安心してしまう。


どうしてなのかな?


「落ち着いた?」


社長が優しい声で聞いてくれる。


私はコクンと頷いた。


「なぁ、どうしてお前はそんなに人に対して従順なんだ?

俺がどんなにイジワルしても、どんなひどい命令しても、文句ひとつ言わずに仕事してただろ?」


私はゆっくり身体を起こした。


「…わかりません。

多分そういう扱いをされるのに、慣れてるからだと思います…」


そう言うと、社長が悲しそうに目を細めた。


「ごめんな。俺が悪かった。

お前が何も文句言わないのをいいことに、ひどい扱いしてたよな。

許して欲しい」


「社長…」


「なつき…だろ?」


「…あ、ごめんなさい…」


社長が私の頭をまた撫でてくれる。


撫でてくれながら、社長はなぜか口を少し尖らせて首を傾けた。


「なぁ、今思ったんだけどさ」


「はい?」


「お前、俺が飼ってた犬に似てる」


「はぁ?」


な、何?


私が犬に似てるですってーーー?
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