My sweet lover
社長のベッドからズルズルと降りて、廊下へと出る。


廊下は少し肌寒くて、私はそっと自分の身体を抱きしめた。


リビングの扉を開けると、社長の姿はなかった。


壁時計に目をやると、時計は9:30を指していて。


社長はもうとっくにお店にいる時間だよね。


今日私は遅番だから、起こさずにいてくれたんだ……。


朝食をおなかいっぱいに食べて出かける準備を整えると、エレベーターを降りた。


ロビーに到着すると、いつものようににっこり笑いかけてくれる秋山さんの姿が。


「こんにちは、水沢様」


「こんにちは」


ここのコンシェルジュは24時間体制らしく、交代勤務だということが暮らしてみてわかった。


秋山さんは夜勤はしていなくて、もっぱらこうして昼間にいる事が多い。


「水沢様、久遠様のお部屋での暮らしにはもう慣れましたか?」


「はい、もうすっかり慣れました」


庶民の私は、最初は随分戸惑ったけど。


「それは良かったです。

水沢様がこちらに来られてから、久遠様がなんだか明るくなられたような気がするのですが、気のせいでしょうか?」
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