My sweet lover
『由梨ちゃんはね、朝日君じゃなくて、夏樹君とお似合いだと思うの』


「へ?」


思わず変な声が出た。


「ありさ、何言ってんの?」


全く、ワケのわからないことを。


『この前ボウリングで会った時にね、二人がすごくお似合いだったから。

由梨ちゃんと話してる夏樹君、なんだかイキイキしてたし。

私、てっきり夏樹君は由梨ちゃんが好きなんだと思ってたくらいよ』


堪えきれず、ブッと噴き出した。


「いや、ありえないし。

大体アイツは、ウチの従業員だぞ。

そんな対象にしちゃマズイだろ?」


特別扱いしてるだのなんだの言われたら、たまったもんじゃないからな。


『そうかなあ?

ただの社内恋愛だと思うけどな。

ウチの会社にいくらでもいるよ。

上司と部下のカップルなんて』


う…。


意外にありさが食い下がって来るよな。


どうしちゃったわけ?


『夏樹君。私、ロサンゼルス支社に行くわ。やっと覚悟が出来た』


「そうか…。決めたんだな…。

さみしくなるよ」


ありさが遠くへ行ってしまう。


すぐには会いに行けない場所へ…。


俺は携帯を持ったまま、窓からブラインド越しに外の景色を覗いた。


え…?

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