My sweet lover
「話って、朝日の事だろ?」


ソファにドカンと腰掛けて、腕を組む社長。


「えっ?はい、そうです」


社長、どうして知ってる?


「ありさに聞いたんだ。今日、朝日と別れたって」


そうか。

 
ありささんから聞いてたんだね。


「てっきりもう帰って来ないのかと思ってたのに。

そしたらお前の靴があるから、ビックリしたよ」


社長はフッと鼻から息を吐いた。


「そんな。いきなりそんなことしませんよ。

ちゃんと社長にお話してから行こうと思ってました」


私がそう言うと、社長は窓の方へと歩き始め、そしてゆっくりとカーテンを開けた。


「水沢、ちょっと部屋の電気消して」


「えっ?」


ワケがわからなかったけど、私は言われるまま部屋の電気を消した。


「あ…」

 
窓の向こうに広がる一面の夜景。


まるで満天の星空のように、小さな粒がキラキラしている。


私は思わず窓に駆け寄った。


「すごい…。すごく綺麗です」


この街の夜景ってこんなに綺麗だったんだ。


全然知らなかった。


「お前、ここの夜景は一度も見たことなかったろ?

最後の夜だ。

しっかり見ておけよ」


「社長…」

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