My sweet lover
「結婚、か。

さすがにそれには、ちょっとまいった。

いずれそうなることはわかっていたけど、ついにこの日が来るとはな」


そう言って社長はネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを一つ外した。


その姿に、不覚にもドキドキする自分がいた。


「俺と朝日とありさ。

サークルが同じで、仲良かったんだ」


へぇ…、三人はサークル仲間だったのか。


「ずっと三人でいたんだけど、大学ニ年のクリスマスに、急に二人が付き合い出すって言い出したんだ。

まぁ、ショックだった。

ずっと好きだったから」


この自信満々で、態度のデカイ社長が失恋?


ちょっと意外だ。


いや、かなり意外だ。


「社長の思いをありささんは?」


「気づいてもないと思うよ。

伝えたこともないし。

あまりにショックで、翌年イタリアに逃げるように留学したんだ」


そう言って社長は、ふぅと長い息を吐いた。


写真を持ってるってことは、今でもありささんのことを……?

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