My sweet lover
「そのご友人、スポーツジムにお勤めみたいなんですけど、水沢ちゃんのことスカウトしてたんです。

一緒に働かないかって。

アンタなら即戦力になるからって」


マネージャーの言葉に、ざわと背中に冷たいものが走った。


「水沢はなんて…?」


明らかに動揺している自分の声に驚く。


「ハッキリ断るでもなく、ちょっと困った顔してましたねー。

相手は本気みたいで、また今度ゆっくり話そうなんて言ってました」


なんだよ…それ。


アイツそんなこと俺にはひと言も…。


あぁ、俺は馬鹿か。


俺の店にずっと居てくれなんて、社長である俺から言われて、イヤですとアイツが断れるわけがないのに、それを真に受けていた。


若い女の子は、わりとすぐに仕事を辞めてしまう場合が多い。


結婚、妊娠、転職。

 
男以上に目まぐるしい。


どうしてあんな口約束を信じた?


アイツが転職しないってどうして言える?


どうして、いつまでも俺のそばにいると思った?


ずっと、手元に置いておけると思った?




そんな保証、どこにもないのに……!
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