My sweet lover
「由梨…」


頭を撫でていた大きな手が、今度はゆっくり頬へと移動する。


親指でそっと私の唇をなぞった後、優しく唇を重ねられた。


横にいた夏樹さんが、私の上に覆いかぶさる。


上唇と下唇を交互に、ついばむように重ねる夏樹さん。


重なるたびに部屋に響くリップ音に、私の身体が熱を帯びていく。


思わず夏樹さんのがっしりした腕にしがみつくと、夏樹さんは私の唇を舌でトントンと叩いた。


戸惑いながらゆっくり唇を開くと、夏樹さんが優しく絡み付いて来た。


こういうキスはあんまり好きじゃないと思っていたのに、夏樹さんにされると全身の力がゆるゆると抜けてしまう。


私も夏樹さんの動きに合わせるように、絡め合わせた。


吐息が混ざり合い、溶けてしまいそうなほど深いキスを繰り返していると、頭の中が真っ白になっていった。


あぁ…、私は夏樹さんが好き…。


そして、同じように夏樹さんに思われていると、このキスから伝わってくる。


私達は長い長いキスをして、どちらからともなく惜しむように唇を離した。


私はどうしてだか、閉じていた瞼をなかなか上げることが出来ない。


額に汗が滲んで、身体も火照ってしまっている。


はぁと息を吐いてゆるゆると瞼を上げると、夏樹さんが私の事をじっと見つめていた。


「由梨、その顔ヤバイ…」


至近距離で囁かれて、思わず顔を両手で隠した。

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